結論から言うと、SEOは「やった方がいい施策」ではなく「向き不向きがある施策」です。マーケ担当がいない中小企業ほど、「ホームページを作ったのだからSEOもやらなきゃ」と何となく始めてしまいがちですが、商材やビジネスモデルによっては、SEOよりも先にやるべきことがあります。この記事では、SEOに手を出す前に僕が必ず確認している3つの視点を、順番にお伝えします。
もし社内で「そろそろSEOをやろうか」という話が出ているなら、記事を書き始める前にこの3つを一度チェックしてみてください。
※今どの集客施策から手をつけるべきか迷っているなら、お気軽にご相談ください。
SEOに向いている商材と向いていない商材の違いは?
「悩んだ人が検索する」商材かどうかです。これがSEOと相性がいいかどうかの最初の分かれ目になります。
税理士や英会話、業務システムのように、困りごとがあって初めて人が検索する商材は、検索という行動そのものが需要の証拠になるため、SEOと相性がいいと言えます。一方で、アパレルや食品のように「見て初めて欲しくなる」商材は、そもそも検索されるほど言語化された悩みが存在しないケースが多く、SEOよりもSNSや広告の方が向いていることが少なくありません。実際、リスティング広告のようなキーワード検索を前提にした施策も、認知されたばかりの新商品には向かないとされています(出典:リスティング広告の効果が出ない?相性の悪い商材の特徴とは)。
僕はこれを、痛い記憶とともに理解しています。以前、小学生向けの通信教育サービスを立ち上げたとき、キャラクター開発や読み物コンテンツの制作に300〜400万円を投下しましたが、集客のことは何も考えていませんでした。ホームページを自分で作って、あとは無料のプレスリリースを少し打つだけ。「良いものを作れば、検索されて見つけてもらえるはず」と、根拠のない期待をしていたのです。
結果は1つも売れずに撤退でした。今振り返るとよく分かるのですが、あの商材は「教養にお金を払う」という発想自体が当時の家庭にほとんど存在しておらず、誰も検索していない言葉を待っていたようなものでした。SEOで集客しようにも、そもそも検索需要がなければ、記事をいくら書いても誰にも見つけてもらえません。
| 商材の特徴 | 検索行動 | 向いている施策 |
|---|---|---|
| 困りごとがあって探す(税理士・システム導入等) | 悩みを言語化して検索する | SEO |
| 見て初めて欲しくなる(アパレル・新商品等) | 検索するほど悩みが言語化されていない | SNS・広告 |
自社の商品・サービスが、お客さんの頭の中で「検索されるほど言語化された悩み」に結びついているかどうか。ここを最初に確認しないと、SEOという土俵に立つこと自体が間違っている可能性があります。
SEOを始める前に「続けられるか」を自分に問うべきなのはなぜ?
SEOで成果が出るのは、コンテンツを出し続けた先にあるからです。1本や2本の記事では、検索エンジンにもお客さんにも「継続的に情報発信している会社」だと認識してもらえません。
僕がUDS時代にコワーキングスペースのコンテンツマーケティングを担当していたとき、最初の依頼は「ブログを定期的に更新してほしい」という単純作業ベースのものでした。正直、当時の僕にとってもそれは「言われたからやる仕事」に近いものでした。ですが、途中から「どうせやるなら、事業成長につながる形でやりたい」と思うようになり、入居企業の経営者へのインタビューやイベントレポートを自分から提案して、記事の構成も自分なりに設計し直しました。
このとき痛感したのは、SEOという施策は「会社に指示されて始める」ことはできても、「会社に指示されて続ける」のは難しいということです。継続の原動力になったのは、上からの指示ではなく、自分自身が「このコンテンツには意味がある」と信じられたことでした。SEOで成果を出している中小企業の事例を見ても、ユーザーが最も関心を持つ内容を調べ、自社の強みを活かしたコンテンツ戦略を継続的に実行できているかどうかが分かれ目になっています(出典:中小企業のSEO対策とは?具体的な対策例や効果を出すポイントを解説)。
担当者が1人しかいない中小企業では、この「続けられるか」の見積もりが特に甘くなりがちです。大仰なマーケ組織を作らなくても、AIを使った仕組みを組み合わせれば、担当者1名でも無理なく継続する体制は作れます。ただし、それでも「一定量を出し続ける」というコミットメントそのものは避けて通れません。
今のリソースでどれくらいのペースなら続けられそうか、一緒に整理することもできます。
単価が低い商材でSEOに投資すると何が起きるのか?
投資した時間とお金が、回収できないまま終わる可能性が高くなります。SEOは効果が出るまでに時間がかかる施策なので、1件あたりの利益が小さい商材では、コンテンツ制作にかけた工数を売上で取り戻せないことがあるからです。
僕がこれを痛感したのも、やはり通信教育サービスの失敗からでした。あのとき最も欠けていたのは、商品開発費を投下する前に「集客にどれだけの投資が必要で、それが何で回収できるのか」という視点そのものでした。集客への投資という発想がなく、ただ「良いものを作って公開すれば、いずれ見つけてもらえる」と考えていたのです。単価が低い商材ほど、この「投資と回収のバランス」をシビアに見ておかないと、コンテンツを作れば作るほど赤字が積み上がる構造になりかねません。
単価が高く、同じ領域で長く事業を続けていく前提があるビジネスモデルほど、SEOへの投資は合理的になります。逆に、単価が低く、かつ短期的に売上を作りたいフェーズであれば、SEOよりも即効性のある施策から着手した方が理にかなっています。
自社の商材が「SEOに投資して回収できる単価・継続性があるか」を見極める具体的な計算式は、マーケスクールで解説しています。
SEOを始めるなら、なぜ「3年」の覚悟が必要なのか?
SEOは「やり始めたら途中でやめにくい」施策だからです。ドメインを変えたり記事を大量に削除したりすると、それまで積み上げてきた検索エンジンからの評価が崩れてしまいます。
SEOは、広告のように支払いを止めた瞬間に流入も止まる「消費型」の集客とは違い、一度評価を得れば更新を止めても表示され続ける「資産型」の集客だと言われています(出典:SEO集客 vs SNS集客|あなたのビジネスに合うのはどっち?)。裏を返せば、資産になるまで積み上げるには、相応の年月が必要だということでもあります。
僕はこの「時間をかけて積み上げる」ことの価値を、SEOとは別の場所で実感してきました。長崎県島原市に単身移住して観光コンテンツの企画・運営に携わっていたとき、地域の人たちと毎晩のように飲みに行って対話を重ね、その積み重ねから観光コンテンツを一つずつ形にしていきました。この観光コンテンツは13年間継続していて、年間の地域経済効果は約2,000万円、単純計算で13年間の累計は2億円を超える規模になっています。すごい戦略があったわけではなく、地道に対話を重ねてコンテンツを作り続けた時間そのものが、後から振り返ると大きな資産になっていた、という経験です。
SEOも同じで、始めた直後は何も積み上がっていないように見えます。ですが、3年やり続けるくらいの気持ちで向き合えるなら、その先には広告費をかけなくても安定した流入が続く資産が残ります。逆に、その覚悟が持てないなら、今の時点でSEOを選ばない方が正直な判断です。
まとめ
SEOをやるべきかどうかは、「良い施策かどうか」ではなく「自社に合っているかどうか」で決まります。お客さんが検索して悩みを言語化する商材か、担当者が一定量の発信を続けられるか、単価と継続性の面で投資を回収できるか。この3つを自分の会社に当てはめて、答えがどれも「イエス」に近いなら、SEOは始める価値があります。どれかが怪しいなら、無理に手を出す前に他の施策を先に固めた方がいいかもしれません。
やるかやらないかを自分たちだけで決めきれないときは、一緒に整理するところから始めてみませんか。一人で戦略を抱え込まず、一緒に考えさせてください。
よくある質問
Q. SEOに向いていない商材は絶対にやらない方がいいですか? A. 絶対にNGではありませんが、優先順位は下がります。まずはSNSや広告など検索行動に頼らない施策から始める方が効率的です。
Q. 担当者が1人しかいなくてもSEOは続けられますか? A. 続けられます。ただし工数は現実的に見積もる必要があり、AIを使った仕組み化などで負担を減らす工夫が前提になります。
Q. SEOは何年くらい続ける覚悟が必要ですか? A. 目安として3年程度は継続する前提で始めることをおすすめします。途中でドメインや記事構成を大きく変えると、積み上げた評価が崩れるリスクがあります。
Q. 単価が低い商材はSEOを完全に諦めるべきですか? A. 諦める必要はありませんが、投資回収のシミュレーションを先にやっておくべきです。具体的な考え方はマーケスクールで解説しています。

人材派遣・住宅設備(マイセット)・空間プロデュース会社UDS・島原観光ビューロー・コラビットと、マーケ担当不在の現場を渡り歩いてきた実務家。26歳でホームページ制作で独立し15年以上Web制作に従事。教育施設の立ち上げでは半年で受講生100人達成、島原観光ビューローでは観光情報発信サイトのディレクションや集客コンテンツを手がけ13年続いた観光コンテンツ(累計経済効果2億円超)を立ち上げ、コラビットには一人目マーケターとして入社し広告CPA65%削減・記事200本以上作成、その後マーケティングマネージャーとして年間数億円規模の予算を管理。現在は屋号デジマタクトでホームページ制作を入口に、AIを活用したマーケティングの仕組みごと提供し、中小企業の担当者1名でも運用できる体制づくりを支援。


