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専任マーケとソロマーケが「別競技」である理由。月2万円の広告費で僕が気づいたこと

公開日: 2026-07-13更新日: 2026-07-13
専任マーケとソロマーケが「別競技」である理由。月2万円の広告費で僕が気づいたこと

一人で事業をやっていると、大企業のマーケティング手法をそのまま真似したくなる瞬間があります。でも結論から言うと、それはうまくいきません。理由は「予算が少ないから」ではなく、そもそも戦っている競技そのものが違うからです。

僕は会社員時代、月2,000万円の広告予算を動かしていました。独立してすぐの頃は、月2万円。同じ「広告運用」という言葉を使っていても、この2つは似て非なるものでした。それに気づかず会社員時代のやり方をそのまま持ち込んで、痛い目を見た話をします。

なぜ「専任マーケ」と「ソロマーケ」は別競技なのか?

僕はこの2つを、はっきり別のものとして定義しています。

専任マーケは、月に数百万円以上の広告・マーケ予算があり、社内に専任マーケターがいるか、代理店に発注して「マーケだけをやる人」がどこかに存在する状態です。予算の大きさそのものより、「マーケを専業でやれる人がいるかどうか」が分かれ目になります。

ソロマーケは、マーケ専任ではないのに、事業の責任者としてマーケティングまで完結させなければいけない人です。マーケティングに割けるリソースはだいたい2〜3割程度で、それ以外の時間は本業に取られます。

この2つは、戦う場所も、使う武器も、判断の軸も、全部違います。専任マーケのプレイブックをそのままソロに当てはめると、僕が独立直後にやったように「データが出なくて判断できない」という状況に必ずなります。

月2万円の広告予算で、何が起きたのか?

独立してすぐの頃、僕はそれを理解していませんでした。「とにかく広告を出してデータを取ろう」と思い、GoogleとMetaに広告を出してみたんです。予算は月2万円。半分ずつ、1万円ずつ分けました。

結果、アクセスがほぼ来ませんでした。データが全然取れない。A/Bテストをやろうにも、そもそもサンプル数が揃わないんです。「どちらの広告が良かったか」を判断しようにも、判断できるだけの数字が出てこない。

これには裏付けがあります。A/Bテストで統計的に意味のある結果を出すには、一般的に1パターンあたりPV数2,000以上、CV数30以上が目安とされています(出典:SiTest sitest.jp/blog/?p=30198)。月1万円の広告費でこのボリュームのアクセスを集めるのは、現実的にかなり厳しい。

会社員のころは「データを見て判断する」のが当たり前でした。でも月1万円の広告では、判断するためのデータそのものが出ないんです。これが最初の気づきでした。月1万円と月1,000万円は、「同じ広告」じゃない。まったく別の競技をやっている、ということに気づいたんです。

実際、中小企業経営者1,395名を対象にした調査では、年間の広告宣伝費の平均は98万円、半数以上が20万円未満、4分の1は5万円にも満たないという結果が出ています(出典:Wepage自主調査 wepage.com/blog/article/40/index.html)。「データを見て最適化する」という専任マーケの戦い方は、そもそも潤沢な予算がある組織のためのルールであって、多くのソロ・中小企業の現場では物理的に成立しにくいんです。

なぜ大企業の手法はソロに通用しないのか?

大手企業のマーケティングを見てみましょう。たとえばカルビー。SNSでバズる投稿を作り、何万人にもリーチして、ブランドの認知を広げるのが上手な会社です。

でも、カルビーにはこれが成立する理由があります。コンビニの棚に商品が置いてある、ということです。SNSで「カルビーのポテチおいしそう」と思った人は、そのままコンビニに行けば買えます。棚に並んでいるから。SNSでの認知が、そのまま売上に直結する構造があるんです。

カルビー型(認知→棚→購入が直結)とソロ型(認知→申込ページへの動線が必要)の構造比較図解

では、ソロアントレプレナーはどうでしょう。コンビニの棚に、あなたの商品は置いてありますか? SNSで5万人にリーチして「この人のサービス、よさそう」と思ってもらえたとしても、棚がない。「よさそう」で終わってしまうんです。申し込みページに自分で来てもらう動線をつながないと、認知は売上に一切ならない。ここが根本的に違います。

SlackやNotionのような有名SaaSも、参考にすると危険な例のひとつです。彼らがSNSで新機能を発信するだけでユーザーが増えるのは、すでに圧倒的な認知度があるから。「あ、あのサービスね」という土台があるから、「知らせるだけ」で勝てます。

でも、僕たちソロのサービスは、世の中から見れば「存在しない」のと同じです。認知度はゼロ。どれだけSNSで発信しても、ほとんどの人の視界には入りません。一瞬目に入ったとしても、自分に関係があることだと思われず、0.1秒でスルーされる。認知度があるサービスは「お知らせ」だけで売れますが、無名のソロは、ターゲットが抱えている強烈な痛みと、その瞬間の文脈に、針の穴を通すような精度でメッセージを突き刺さなければいけないんです。

比較軸 専任マーケ ソロマーケ
予算規模 月数百万円以上 月数万円〜
体制 専任担当者・代理店あり 事業責任者が兼任
認知度の土台 既にある(棚・ブランド) ゼロからスタート
有効な戦い方 データに基づく最適化 ターゲットの痛みへの精度
参考にすべき手法 大企業のベストプラクティス ソロ専用の考え方

ソロマーケターはどう戦えばいいのか?

大企業向けのベストプラクティスは、基本的に参考にしなくていいと僕は考えています。月に何百万円も使えることを前提にした話は、ソロの現場では機能しません。

「広く知ってもらおう」として大手の真似をして、誰にでも当てはまるような綺麗な発信をしても、認知度ゼロのソロの世界では、ただのノイズとして無視されるだけです。必要なのは、AIが出してくる「それっぽい、誰にでも当てはまるようなコピー」に対して、「これじゃあ、ターゲットの痛みに刺さらないよ」と自信を持ってダメ出しができる目です。

その目を鍛えるための考え方・判断基準は、マーケティングスクールの中で具体的に解説しています。

まとめ

月2万円の広告費でデータが出ず途方に暮れたとき、僕は「予算が足りないだけだ」と思っていました。でも本当の問題は、専任マーケ時代の思考回路を、そのままソロの戦場に持ち込んでいたことでした。

競技が違えば、ルールも武器も変わります。大企業のプレイブックを卒業して、ソロ専用の考え方に切り替えたときから、ようやく僕は自分の状況に合った判断ができるようになりました。

よくある質問

Q. ソロでもA/Bテストはできますか? A. 予算次第です。1パターンあたりPV2,000・CV30以上が統計的な目安とされ、月数万円規模の予算ではこの水準に届きにくいのが実情です。

Q. 広告予算はいくらから始めればいいですか? A. 個人事業主・中小企業では月3万〜20万円程度で運用しているケースが多く報告されています。ただし金額よりも「その予算でデータに頼らずどう判断するか」の設計が重要です。

Q. 大企業の成功事例を参考にしてはいけませんか? A. 認知度という土台がすでにある前提の手法が多いため、そのまま真似すると機能しにくいです。参考にする場合は「なぜその手法が彼らにだけ成立するのか」を見極める必要があります。

寺尾講平
寺尾講平

個人事業主(ソロプレナー)の「売上が伸びない」「発信が続かない」を、AIとコンテンツマーケティングで解決する専門家。大手企業のオウンドメディア立ち上げ・コンテンツマーケティング支援を皮切りに、事業会社のマーケティング責任者として年間2億円規模のマーケティング予算を統括。自らも週2本ペースで2年間、200〜300本の記事を執筆し、記事制作のディレクションも担いながらコンテンツマーケティングを現場で回し続けてきた。広告だけに頼らない仕組みづくりを志向し、コンテンツマーケティングとの掛け合わせで3年間で事業売上約20倍の成長を牽引。BtoB(SaaS)領域では広告費に依存しないリード獲得スキームを構築し、MRR1,000万円超を達成。事業主として7つの新規事業立ち上げ・会社経営を経験しており、職業マーケターとしての実務経験と両方を持つのが最大の強み。個人事業主が単価の壁で頼れなかったプロのマーケティング支援を、AIを武器に届けている。

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