マーケティングの判断に迷ったときは、「知識が足りないのか」「判断に納得できていないのか」で相談先を分けるのが正解です。知識が足りないなら記事やAIで十分ですが、「この判断で本当にいいのか」という迷いは、人に話さない限り消えません。
広告をこのまま続けるか、ホームページを作り直すか、外注先の提案を受けるか。マーケ担当のいない会社では、こうした判断を社長や兼務の担当者が1人で抱えていることがほとんどです。この記事では、僕のところに実際に来た相談をもとに、AI・記事・人(顧問)をどう使い分ければいいのかをお伝えします。
※今まさに、1人で判断を抱えて迷っているなら、お気軽にご相談ください。
なぜマーケティングの判断は、1人で抱えるとしんどいのか?
マーケティングには正解が1つではなく、「この判断でいいのか」という問いが常につきまとうのに、それを話せる相手が社内にいないからです。
WINDOM株式会社が467名に行った調査では、マーケティングの判断について相談できる相手が「ほとんどいない(ほぼ1人で判断している)」と答えた人が75.8%にのぼりました(出典:PR TIMES(WINDOM株式会社調べ))。
これは僕自身の実感とも重なります。僕は会社員時代、3社続けて「社内でマーケティングをやっているのは自分1人」という立場でした。策を考える。資料を調べる。数字を見る。「よし、これで行こう」と決める。でも、その「決める」がどこか宙に浮いたままになるんです。誰にも話していないし、誰にも反応してもらっていない。だから、本当には納得できていない。
能力が足りないわけではありません。納得できないまま決め続けることが、しんどさの正体だと僕は考えています。
AIや記事に聞いても、なぜ迷いが消えないのか?
AIはこちらが渡した情報の範囲でしか答えられず、記事は一般論しか書けないからです。
最近は「AIに相談すればいいのでは」という声もよく聞きます。実際、AIは賢く丁寧に答えてくれます。ただ、その答えは根本的に「あなたが渡した情報の範囲内」で組み立てられています。あなたが気づいていない視点は、あなたがAIに渡していないので、AIも持っていません。「否定的に返して」と頼んでも、返ってくるのはあなたが出した論点への否定です。「そんな角度があったのか」と驚くような指摘は、なかなか来ません。
記事や本も同じです。知識は増えますが、書かれているのはどの会社にも当てはまる一般論です。自社の個別の状況に当てはめる橋渡しは、自分でやるしかありません。
もう1つ、AIにも記事にもないものがあります。「人に話した」という事実です。人は話すことで考えが整理されます。相手の表情や相づちから、自分の言葉の弱いところに気づく。そして「人に話して、うなずいてもらえた」「一緒に悩んでもらえた」という経験が、決断を支える土台になります。
AI・記事・人(顧問)は、どう使い分ければいいのか?
迷いの種類で使い分けます。調べれば分かることはAIと記事、決めることへの納得は人、と覚えておけば十分です。
| 迷いの種類 | 例 | 向いている相談先 |
|---|---|---|
| 言葉や仕組みが分からない | 「この広告の数字は何を表しているのか」 | AI・記事 |
| 一般的なやり方を知りたい | 「ホームページのリニューアルは何から始めるか」 | 記事・本 |
| 自社に当てはめると、どうなるか分からない | 「うちの規模で、この広告は続けるべきか」 | 人(顧問・相談相手) |
| 決めたことに納得できない | 「この外注先の提案を受けて本当にいいのか」 | 人(顧問・相談相手) |
AIや記事は、上の2つにはとても強い道具です。僕も毎日使っています。でも、下の2つは「自社の事情を知っている人」に話さないと解消しません。
ここで大事なのは、相談相手に正解を出してもらうことではないという点です。壁に向かって打つ壁打ちは、ボールがそのまま返ってくるだけです。人相手の壁打ちは、少し角度を変えて返ってくる。「そのボール、実は変な回転がかかっていますよ」と教えてもらえることもあるし、「その打ち方、いいですね。続けていいと思います」と言ってもらえることもある。その一言が、思っていたより大きな意味を持ちます。
社内に相談できる人がいない場合は、マーケティングの顧問という形で、判断の相談相手を外に持つこともできます。
相談相手を外に持つと、何が変わるのか?
判断のスピードと、決めたことを続ける力が変わります。
少し前、ある会社の事業責任者から相談を受けました。内容はこうです。「うちのマーケターが、しんどそうにしている。壁打ちの相手を探している」。そのマーケターは有能でした。戦略も立てられるし、いろいろな施策を1人で回してきた実績もある。問題は能力ではなく、社内にマーケティングの話ができる人が1人もいないことでした。その会社もマーケターも、AIはすでに試していました。そのうえで、相談相手を人に求めていたんです。
その会社は最終的に、マーケティングの顧問として僕と契約してくれました。今は週に1回、壁打ちの相手として関わっています。
そのマーケターは、僕に正解を求めているわけではありません。自分が正しいと思っていることを話して、「うん、それでいいと思います」と言ってもらうため。あるいは「ここ、ちょっと甘くないですか」と返してもらうため。それで十分なのだと思います。
マーケ担当のいない会社なら、これは社長自身の話でもあります。外注先の提案、広告を続けるかどうか、新しいことを始めるかどうか。1人で抱えずに一度話すだけで、決めるまでの時間も、決めたあとの迷いも、ずいぶん小さくなります。
まとめ
知識が足りないときは、AIと記事がいちばん速くて安い相談先です。でも「この判断でいいのか」という迷いは、自社の事情を知っている人に話さない限り消えません。僕自身、社内で1人きりのマーケターだった頃にそれを痛感しましたし、今は相談を受ける側としても同じことを感じています。調べることは道具に任せて、決めることは人に話す。その使い分けだけで、判断はずっと軽くなります。
よくある質問
Q. AIに相談するだけではだめなのですか? A. 言葉の意味や一般的なやり方を調べるには十分です。ただ、自社に当てはめた判断への納得は、事情を知っている人に話さないと得にくいです。
Q. マーケティングの顧問には、どんなことを相談できますか? A. 外注先の提案や見積りが妥当か、広告を続けるべきか、次に何をやるべきかといった、日々の判断の相談ができます。
Q. 社内に相談できる人がいない場合、最初に何をすればいいですか? A. 迷っていることを1つ書き出して、外部の相談相手に話してみてください。話すだけで論点が整理されることも多いです。
Q. 顧問に相談すると、正解を教えてもらえるのですか? A. 正解を出すというより、判断の材料を整理し、見落としている視点を返す役割です。決めるのは社長や担当者です。
1人で判断を抱え込まず、一緒に考えさせてください。

人材派遣・住宅設備(マイセット)・空間プロデュース会社UDS・島原観光ビューロー・コラビットと、マーケ担当不在の現場を渡り歩いてきた実務家。26歳でホームページ制作で独立し15年以上Web制作に従事。教育施設の立ち上げでは半年で受講生100人達成、島原観光ビューローでは観光情報発信サイトのディレクションや集客コンテンツを手がけ13年続いた観光コンテンツ(累計経済効果2億円超)を立ち上げ、コラビットには一人目マーケターとして入社し広告CPA65%削減・記事200本以上作成、その後マーケティングマネージャーとして年間数億円規模の予算を管理。現在は屋号デジマタクトでホームページ制作を入口に、AIを活用したマーケティングの仕組みごと提供し、中小企業の担当者1名でも運用できる体制づくりを支援。


