KPIとは、「事業が前進しているかどうかを、あらかじめ決めておいた数字で判断する仕組み」のことです。難しい言葉ですが、やっていることはこれだけです。マーケも経営も一人で担っている個人事業主・フリーランス・ひとり社長ほど、この「先に決めておく」がないと、日々の施策の良し悪しを自分の感覚だけでジャッジすることになり、気づかないうちに遠回りをしてしまいます。
僕はデジマタクトの寺尾と申します。前職では広告運用からコンバージョンポイントの設計まで一人で担当してきました。その経験から、KPIを先に決めていなかったことで判断がブレた場面も、決めていたおかげで迷わず動けた場面も、両方見てきました。今日はその実感をベースに、KPIの考え方をお伝えします。
※もし今、広告やSNSの数字をどう見たらいいか迷っているなら、お気軽にご相談ください。
KPIとは何か?
KPIとは、事業が前進しているかを判断するために、あらかじめ決めておく数字のことです。日本語では「重要業績評価指標」と訳されますが、本質はシンプルで、「この数字が上がっていれば前進、下がっていれば見直し」という判断基準を、施策を始める前に決めておくというだけの話です。
実際、KPIを明確に設定できていない中小企業は少なくありません。新規開拓業務の評価指標について「明確に設定された指標(KPI)はない」と回答した企業は全体で39.0%にのぼるという調査結果もあります(出典:中小企業の新規開拓に関する実態調査)。決して珍しい状態ではなく、むしろ「決めていない」方がよくあるスタート地点だということです。
だからこそ、まず「KPIを決める」というこの一歩を踏み出すだけで、多くの事業者より一歩前に進めます。
なぜKPIを「先に」決めておく必要があるのか?
KPIを先に決めておく理由は、施策の途中で判断がブレるのを防ぐためです。数字を先に決めていないと、良さそうに見える指標だけを見て「うまくいっている」と錯覚してしまうことがあります。
たとえば広告を出してクリックが大幅に増えたとします。「なんだかうまくいっている気がするな」と感じるかもしれません。でも、実は問い合わせや売上が1件も増えていなかったらどうでしょうか。この施策は成功なのか失敗なのか、先にどの数字を追うか決めていないと、この判断自体がブレてしまいます。
僕自身、前職で似たような場面に直面したことがあります。当時は不動産の無料AI査定サービスの担当で、最初は「無料査定登録数」をKPIとして広告を運用していました。登録数は伸びていて、数字だけ見れば順調でした。ですが事業として本当に売上につながる地点は、その先の「一括査定の依頼」だったんです。登録数が増えても、そこから先の一括査定に進むユーザーが増えなければ、事業のキャッシュポイントには届きません。
このとき「どの数字を本当のゴールとして追うべきか」を、チームと経営陣を交えて議論しました。売上に直結する指標を優先すべきだという結論になり、KPIを「登録数」から「一括査定の依頼数」へと再定義しました。一人の手柄というより、数を取るか売上を取るかというよくあるトレードオフについて、チームで向き合った結果です。この経験から、「見た目が良い数字」と「事業を前に進める数字」は必ずしも一致しないということを、身をもって学びました。
KPIが先に決まっていれば、同じ状況でも即座にジャッジが下せます。「ゴールは問い合わせを月10件にすること。今月はクリックは多いが問い合わせは3件。ということは、クリックの質かリンク先のページに改善が必要だ」というように、次に打つべき手立てが数字から自然と浮かび上がってきます。迷いという感情ではなく、数字という事実で動けるようになる。これがKPIを先に決めておく一番の理由です。
今どの数字を見て判断すべきか迷っている方は、一緒に整理することもできます。
売上に直結するKPIをどう見分ければいいか?
売上に直結するKPIを見分けるには、「その数字は活動量を示しているだけか、それとも売上の源泉に直結しているか」を自分に問いかけることです。
SNSの「いいね」や「インプレッション」、あるいは「フォロワー数」は、決して無駄なものではありません。これまで積み上げてきた大切な活動の証です。ただ、ビジネス戦略という視点で見れば、これらは「活動量の指標」にとどまります。僕たちが本当に追うべきなのは、「問い合わせ数」「成約数」「顧客獲得コスト」といった、最終的に売上を支える数字です。
| 指標の種類 | 具体例 | 役割 |
|---|---|---|
| 活動量の指標 | いいね、インプレッション、フォロワー数 | 活動の積み重ねを示す証。無駄ではないが、そのままでは売上とイコールにならない |
| 売上の源泉となる指標 | 問い合わせ数、成約数、顧客獲得コスト | 事業の前進・後退を直接判断できる数字 |
チャネルによってもKPIの中身は変わります。広告であれば一人を獲得するのにかかったコストが主役になりますし、SNSであれば「フォロワー数」よりも「プロフィールページがどれだけ見られたか」が問い合わせにつながる本質的な指標になることが多いです。SEOなら、流入数とそこからの成約率をセットで見る必要があります。
チャネルごとの具体的なKPI設計方法までは、この記事だけでは書ききれません。まずは「活動量の指標」と「売上の源泉となる指標」を分けて考える、という土台をここで掴んでいただければと思います。チャネルごとの詳しい設計方法は、マーケティングスクールの中で扱っています。
まとめ
KPIとは、事業が前進しているかを判断するために、あらかじめ決めておく数字のことです。決めていないと、クリックやいいねが増えただけで「うまくいっている」と錯覚し、判断がブレてしまいます。決めていれば、迷いという感情ではなく数字という事実で、次の一手を選べるようになります。
僕自身、登録数という見た目の良い数字を追っていた時期があり、そこから売上の源泉である一括査定へとKPIを再定義した経験があります。数字を追い替える判断は、一人でも、チームでも、何度でもやり直していいものです。まずは「この数字は、最終的に売上につながっているか」を自分に問いかける習慣から始めてみてください。
よくある質問
Q. KPIとKGIの違いは何ですか? A. KGIは最終的な事業目標(売上・成約数など)、KPIはその達成度を日々測るための中間指標です。KGIをゴール、KPIを道中の確認ポイントと捉えると分かりやすいです。
Q. 個人事業主でもKPIは必要ですか? A. 必要です。一人で判断する分、感覚に頼りがちになるため、先に数字を決めておくことで判断のブレを防げます。
Q. KPIはいくつくらい設定すればいいですか? A. 決まった正解はありませんが、最初は1〜2個の売上に直結する指標に絞ると、判断がしやすくなります。
Q. SNSのフォロワー数はKPIにしない方がいいですか? A. フォロワー数自体を否定する必要はありませんが、それだけを追うと売上との乖離に気づきにくくなります。プロフィール閲覧数や問い合わせ数と併せて見ることをおすすめします。
一人で戦略を抱え込まず、一緒に考えさせてください。

個人事業主(ソロプレナー)の「売上が伸びない」「発信が続かない」を、AIとコンテンツマーケティングで解決する専門家。大手企業のオウンドメディア立ち上げ・コンテンツマーケティング支援を皮切りに、事業会社のマーケティング責任者として年間2億円規模のマーケティング予算を統括。自らも週2本ペースで2年間、200〜300本の記事を執筆し、記事制作のディレクションも担いながらコンテンツマーケティングを現場で回し続けてきた。広告だけに頼らない仕組みづくりを志向し、コンテンツマーケティングとの掛け合わせで3年間で事業売上約20倍の成長を牽引。BtoB(SaaS)領域では広告費に依存しないリード獲得スキームを構築し、MRR1,000万円超を達成。事業主として7つの新規事業立ち上げ・会社経営を経験しており、職業マーケターとしての実務経験と両方を持つのが最大の強み。個人事業主が単価の壁で頼れなかったプロのマーケティング支援を、AIを武器に届けている。

