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商圏が決まった店舗の新規集客に、インスタはなぜ向いていないのか

公開日: 2026-09-11更新日: 2026-09-11
商圏が決まった店舗の新規集客に、インスタはなぜ向いていないのか

商圏が決まっている店舗ビジネスにとって、インスタグラムを新規集客の主軸にするのは実はかなり分が悪い選択です。マーケ担当がいない会社でも「とりあえずSNS運用」を検討することは多いと思いますが、その前に一度、SNSが本当にその課題に合っているのかを考えてみてほしいという話を、実際の相談事例をもとに書いてみます。

※SNS運用と店舗集客のバランスに迷っている方は、お気軽にご相談ください。

なぜ商圏型の店舗にSNS集客は向いていないのか

理由は、商圏内で戦う場合とWeb上で戦う場合とで、競合の数がまったく違うからです。

商圏が決まっている店舗、例えば買って帰る系の小さな飲食店を考えてみます。チラシのポスティングだけで新規集客を戦う場合、競合になるのは同じ商圏内にある似たようなお店だけです。同じ商品を扱う店がなくても、似たニーズを満たす別の商品を扱う店が競合になることはありますが、それでも範囲は限られています。

一方でインスタグラムを使った瞬間、競合は一気に全国区、時には海外まで広がります。同じ商品を扱う遠方の有名店も、その商品が好きなインフルエンサーも、すべて同じタイムライン上で競合になります。店舗運営の片手間で、しかも実際に買いに来てくれる距離に住んでいるお客さんだけに、確実に届く投稿を継続的に発信し続けられるのか。ここは一度立ち止まって考えるべきポイントだと思います。

商圏内の競合とWeb上の競合、広さがちがう

インスタでバズっても、記憶に残るのは店ではなくプラットフォーム

インスタで見つけた店は、多くの場合「インスタで見た何か」として記憶されます。

人は「どのお店で見たか」よりも「どのプラットフォームで見たか」を先に覚えている、という感覚があります。例えば、インスタで見つけて気になったお店があったとして、しばらくしてから「あそこ、また行ってみようかな」と思い出したとき、多くの人はまずインスタを開いて検索し直します。そのタイミングで似たような別のお店が表示されたら、「あ、こんな感じだったかな」「あれ、こっちのお店かもしれない」と、記憶がすり替わってしまうことがあります。すでにインスタ以外の場所でも名前を知られているお店ならまだしも、インスタだけを入り口にしたファン化やリピート化は、思っているより移ろいやすいものです。

これはSNSの投稿を面前で否定する話ではなく、SNSの得意なことと苦手なことを分けて考えましょうという話です。SNSの強みは即時性です。営業時間の変更や臨時休業のお知らせなど、確実にすぐ届けたい情報を発信するには向いています。ただし、それはすでにその店の存在を知っている人に向けた情報発信であって、まだ知らない人に新しく店を覚えてもらうための手段としては、別の設計が必要になります。

インフルエンサーマーケティングは店舗集客に効果があるのか

商圏が決まった店舗にとって、インフルエンサーマーケティングは基本的に効果が出にくい手法です。

以前、「インフルエンサーをどうやって選べばいいですか」と相談されたことがあります。まず確認したいのは、そのインフルエンサーのフォロワーのうち、実際に商圏内に住んでいて買いに来られる人がどれくらいいるかということです。仮にそのフォロワーの大半が遠方に住んでいたとしたら、紹介してもらったこと自体は嬉しくても、わざわざ交通費をかけてまで買いに来てもらえる可能性は高くありません。日常的に立ち寄る飲食店であればなおさらです。

もう1つ気をつけたいのが、フォロワーが本当に「その商品」のファンなのか、「そのインフルエンサー本人」のファンなのかという違いです。可愛らしいインフルエンサーが商品を食べている投稿の場合、フォロワーはその子の表情や雰囲気に惹かれていて、何を食べていたかまでは記憶に残っていないケースが少なくありません。これはテレビCMに多くの企業が同じ旬の女優を起用したとき、女優自身の認知は上がっても、どの企業のCMだったかは意外と覚えられていないのと似ています。実際、フォロワー数が少ないインフルエンサーほど、投稿に対してフォロワーが実際に反応してくれる割合が高くなる傾向があるというデータもあり(出典:Shopify)、フォロワーの数だけでインフルエンサーを選ぶこと自体にも注意が必要です。全国区のECショップのように、認知した瞬間にすぐ購入できる導線があるビジネスであれば話は別ですが、商圏が決まった店舗の新規集客としては、あまり噛み合わない手法だと感じています。

集客手法 商圏型店舗との相性 理由
ポスティング 良い 競合が商圏内に限られ、確実に情報を届けられる
インスタグラム運用 新規集客には不向き 競合が全国区に広がり、記憶もプラットフォーム側に残りやすい
インフルエンサー起用 基本的に不向き フォロワーが商圏外に多い場合や、本人のファンである場合が多い

それでもSNSが刺さるケースとは

SNSが強い場合ももちろんあります。流行り物や、都心でしか手に入らないと思われている商品を扱う場合です。

以前、各駅停車しか止まらない郊外の駅前にアサイーボウルの店ができたことがありました。周りに若い子は少なそうな立地でしたが、実際には中学生や高校生が集まってきていて、話を聞くとインスタやTikTokで知ったとのことでした。これは、都心に行かないと食べられないと思われている流行り物を、わざわざ検索して探すという行動が起きやすい商材だったからだと思います。買って帰る系の飲食店のように、近所のスーパーやショッピングモールでも似たようなものが手に入ると思われがちな商材では、こうした「わざわざ調べる」行動自体が起きにくく、同じようにはいきません。

ポスティングやチラシは「見られない」「捨てられる」と言われることもありますが、僕自身、地元のお店をチラシで知ることは珍しくありません。届いた瞬間、目に入ること自体は避けられないという意味で、確実性という点ではむしろ強いとも言えます。しかも今はCanvaで自分でデザインし、ネットプリントで安く印刷すれば、100部を数百円程度で用意することもできます。無料で始められるSNSと比べても、コスト面で大きく見劣りするものではありません。

まとめ

商圏が決まっている店舗にとって、SNSは万能の新規集客ツールではありません。競合が全国区に広がること、記憶がプラットフォーム側に残りやすいこと、そしてインフルエンサーマーケティングも商圏やファンの質によっては噛み合わないことを、まず知っておいてほしいと思います。一方で、流行り物や「わざわざ調べたくなる」商材であれば、SNSが強く効くケースもあります。大事なのは「SNSをやるかどうか」ではなく、「自分の商材や商圏に、その手段が合っているかどうか」を先に見極めることです。

今どんな集客手段が自社に合っているか整理したい方は、一緒に考えさせてください。

よくある質問

Q. 商圏が決まった店舗は、インスタグラム運用をやめた方がいいのですか。 A. やめる必要はありません。ただし新規集客の主軸として期待しすぎず、営業時間の告知など即時性のある情報発信として使うのがおすすめです。

Q. インフルエンサーマーケティングは店舗ビジネスでは絶対に使えませんか。 A. 絶対に使えないわけではありません。フォロワーが実際に商圏内に住んでいるか、商品自体のファンかを確認したうえで検討することが大切です。

Q. ポスティングとSNS、どちらから始めるべきですか。 A. まずこれまで試した施策の中で何が効いたかを振り返り、結果が出ている方に力を入れるのが近道です。

Q. 流行り物ではない商材でも、SNSで新規集客できる可能性はありますか。 A. ゼロではありませんが、商圏内の人だけに継続的にリーチし続けるのは、流行り物に比べて難易度が高くなります。

寺尾講平
寺尾講平

人材派遣・住宅設備(マイセット)・空間プロデュース会社UDS・島原観光ビューロー・コラビットと、マーケ担当不在の現場を渡り歩いてきた実務家。26歳でホームページ制作で独立し15年以上Web制作に従事。教育施設の立ち上げでは半年で受講生100人達成、島原観光ビューローでは観光情報発信サイトのディレクションや集客コンテンツを手がけ13年続いた観光コンテンツ(累計経済効果2億円超)を立ち上げ、コラビットには一人目マーケターとして入社し広告CPA65%削減・記事200本以上作成、その後マーケティングマネージャーとして年間数億円規模の予算を管理。現在は屋号デジマタクトでホームページ制作を入口に、AIを活用したマーケティングの仕組みごと提供し、中小企業の担当者1名でも運用できる体制づくりを支援。

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